自分語りしてしまう心理|なぜ話したくなるのか
この記事は「してしまう側」に向けて書いています。
自分語りの心理は、 たいてい「承認欲求」という一語で説明されます。
ただ、それだけでは なぜその場面で、その話をしたくなったのかまでは説明できません。 ここでは、話したくなる仕組みのほうから見ていきます。
なお、自分の話ばかりする人の心理という言い方で調べられることもあります。 その場合は聞かされる側から見た疑問であることが多いので、 自分の話ばかりする人の特徴|なぜ相手の話にならないのかも合わせて読めます。
承認欲求という説明で止めると、何も分からない
承認欲求は、当てはまりすぎて役に立たない説明です。
認められたい気持ちは誰にでもあります。 それなら、なぜ同じ場にいる人全員が 自分の話を始めないのかが説明できません。
実際に起きているのは、もっと手前のことです。
- 相手の話の中に、自分の記憶と重なる部分があった
- 重なった瞬間に、その記憶のほうが鮮明になった
- 鮮明なものを、そのまま口に出した
つまり思い出した勢いのまま話しているだけ、という場面がかなりあります。
引き金は「共感しようとしたこと」であることが多い
自分語りの心理として見落とされやすいのが、動機自体は善意だったという点です。
相手が困っている話をしているとき、 「分かる」と伝えたくて、自分の似た経験を持ち出す—— という流れはよくあります。
ここで起きているのは、次の入れ替わりです。
意図 … あなたの気持ちが分かる、と伝えたい
結果 … 自分の体験の説明のほうが長くなる
伝えたかったのは共感で、渡ってしまったのは自分の話です。 この差が、うんざりされる原因になります。
似た構造は会話泥棒と自分語りの違い|似ているが別のものでも扱っています。
ネットでは「心理」より先に、様式として笑われてきた
この言葉が広まった場所では、心理の分析より前に、型として扱われてきました。
匿名掲示板やコメント欄では、 自分語りが始まった瞬間に「自分語り乙」と短く返す文化が定着しています。 心理を推し量るのではなく、話の形そのものを指して笑うという扱い方です。
「隙あらば自分語り」という言い方も同じ流れで、 動機ではなく頻度と唐突さを指しています。
心理の説明が求められるようになったのは、 この言葉が対面の会話にも持ち込まれてからのことです。
話し終わると、なぜ後悔が来るのか
話しているあいだは気持ちが良く、終わると急に冷めるという流れもよくあります。
話している最中は、 自分の記憶を再生することに意識が向いています。 相手の反応を見る余裕がありません。
終わってから相手の表情を思い出し、 そこで初めて温度差に気づく——という順番になります。
この後の対処は自分語りをして後悔した夜に|次にどうするかにまとめました。
心理を責めても止まらない
自分語りの心理を突き止めても、行動は変わりません。
止まらない理由は性格ではなく、 話し始めてから終わるまでの間に、 確認する手順が入っていないことにあります。
手順のほうを変える方法は 自分語りの直し方|会話の主語を戻す練習で扱っています。
まとめ
- 自分語りの心理を承認欲求だけで説明しても、場面の違いが説明できない
- 実際の引き金は、思い出した記憶が鮮明になった勢いであることが多い
- 動機が共感を伝えたいという善意だった場合も少なくない
- ネット上では心理より先に、話の型そのものが笑われてきた
- 心理を突き止めても止まらないため、手順を変えるほうが早い